メルマガは、目にする機会が多いマーケティング手法ではあるものの、どのように取り組めばいいのか悩んでいる担当者は多いのではないでしょうか?
この記事では、メルマガの概要や作成するポイントをまとめて解説していきます。マーケティングの効果を最大化するためににも、ぜひ参考にしてみてください。
メルマガは企業と顧客をつなぐマーケティング手法の1つ
メルマガとは、メールマガジンの略称です。広義の意味では企業や自治体の利益に関係なく、定期的に情報を発信する手段を指します。例えば、政府や非営利組織などが発行するメールでの情報です。
狭義の意味でのメルマガは、自社の商品やサービスに関する情報を発信するマーケティングツールとしての意味を持ちます。ユーザーとの貴重な接点の一つとして、関係構築やコミュニケーションの手段として活用します。
メルマガの普及と歴史
1978年にDigital Equipment Corporationがマーケティング目的でメールを配信したことが、メルマガの始まりだといわれています。1992年にはメール配信機能などが搭載されたマーケティングオートメーションツール「Unica」が登場し、1993年には大手のIT企業がメールサービスを開始しました。
1996年には、無料で利用できるメールサービス「HotMaiL」が誕生します。前年にはWindows95がリリースされパソコンが家庭にも普及したことで、Eメールが一般層に広まりました。メルマガがマーケティングで重要視されるようになったのは、2010年頃のことです。
この時期にはメール配信に重きを置いたマーケティングオートメーションツールも多く登場しました。現在もメルマガはマーケティング手法の一つとして、有効活用されています。
メルマガは時代遅れか?
昨今はTwitterやInstagramなどSNSを用いたマーケティングが広まっており、メルマガは時代遅れではという意見もあるでしょう。しかし、実際はそうではありません。
見慣れた方法で目新しさがないため、効果が薄いと感じてしまうのかもしれませんが、違う視点で見れば、長い間活用されてきたマーケティング手法だからこそ、認知度があり活用しやすいと考えられます。
また、メルマガ自体も進化を続けており、最近ではターゲティング機能、オートメーション機能が発達しています。例えば、客層やターゲットに応じてメールの内容を変えるセグメント配信を活用すれば、より一人一人に最適化したマーケティングが可能です。また、スコアリング機能を用いて、一定のスコアに達したユーザーにメールを送ることもできます。
メルマガ配信を行う4つの目的
メルマガの用途は主に伝達・購買・送客の3つといわれてきました。そして現代ではこの3つに加えて、ロイヤルカスタマーを育成する役割も担っています。それでは、メルマガ配信を行う4つの目的について確認していきましょう。
目的1:情報を伝達する
1つ目の目的は、情報の伝達です。自社商品のハウツーや業界に関する情報など、顧客にとって有益な情報を配信します。質の高い情報を提供することで購買意欲や顧客満足度の向上、信頼や愛着の獲得が期待できます。
BtoBの場合は商品やサービスが高額になりやすく、購入の決断までに時間を要します。そこで、セミナーの情報提供や資料のダウンロードなどプラスアルファとなる情報提供をすることで、次のステップに進みやすくなります。
目的2:商品の購入を促す
2つ目の目的は、商品購入の促進です。
- 新商品やおすすめ商品の特徴や性能を詳しく紹介する
- セール情報をいち早く発信する
- 定期的にリピートを促す情報を発信する
など、商品やサービスの購入に直結する情報を発信します。
メルマガの読者は基本的には商品やサービスを認知している、または利用している人です。そのため、不特定多数の人に商品やサービスをPRするよりも、効率よく購入促進ができるでしょう。
目的3:自社媒体や店舗へ送客する
3つ目の目的は、自社媒体や店舗への送客です。
- 自社が運営するWebサイトやWebサービスへの送客
- 実店舗への来店促進
- イベント・セミナーへの来場促進
などが該当します。WebサイトやWebサービスの場合はメール内にリンクを設置することで、送客ができるでしょう。
目的4:顧客育成を行いファン化させる
4つ目は、顧客育成を行うツールとしての活用です。メルマガを用いて顧客との接点を維持できれば、良好な関係を築きやすくなります。
ブランドストーリーや自社の強みなどプラスアルファの情報を発信することで、商品やサービスだけでなく企業やブランドそのものに愛着や信頼を抱く顧客も出てくるでしょう。
ファンとなった顧客は離脱率が低く購入単価が高いため、企業にもたらす恩恵が大きくなります。
読まれるメルマガにするための3つのポイント
メルマガを読んでもらうには、ユーザーに「読みたい」と思ってもらえる内容に仕上げる必要があります。ここでは、読まれるメルマガにするための3つのポイントを解説します。
ポイント1:ターゲットとコンセプトを明確にする
メルマガを作成するときには、ターゲットとコンセプトを明確にしましょう。
- 既存顧客のファン化
- 新規顧客の育成
- 既存顧客のリピーターの獲得
など、誰にどのような目的でメルマガを配信するのか決めます。例えば、リピーター獲得が目的なら、既存顧客にクーポンや新商品情報などを送付するといいでしょう。メルマガはターゲットにより内容が大きく異なるため、あらかじめしっかりと決めておいてください。
ポイント2:最も伝えたいことを冒頭に記載する
メルマガを書く時には、最も伝えたいことを冒頭に記載しましょう。メルマガは、時間をかけてじっくりと読むコンテンツではありません。大切な情報を先送りにすると、読まれる前に閉じてしまい一番伝えたいことが伝わらない可能性があります。
例えば、セミナーに誘導したい場合は冒頭でセミナーがあることを述べて、セミナーの日時や場所を伝えておきます。その後に、セミナーの詳しい内容やセミナー参加のメリットなど追加情報を述べるといいでしょう。
ポイント3:リード文の工夫をする
リード文とは、メルマガの冒頭部分のことです。リード文では、メルマガの内容を簡単に述べて、読者の興味や関心を引くことが欠かせません。
- 読者の悩みや疑問に寄り添う
- 季節の挨拶
- 旬な話題や新商品、新サービスの情報
など、ちょっとした工夫を取り入れてみましょう。
【読者の悩みや疑問に寄り添う例文】
ここ数年で、チャットボットを目にする機会が増えました。しかし、チャットボットをどのようにビジネス利用したらいいのか悩んでいる担当者さまは多いのではないでしょうか? そこで今回のメルマガでは、チャットボットをビジネス利用する3つのヒントを分かりやすくご紹介します。
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【季節の挨拶を取り入れた例文】
最近は秋らしく過ごしやすい季節となってまいりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。〇〇業界は、秋に新商品の発売ラッシュを迎えます。今回は、メルマガの読者さまに一足早く新商品の情報をお届けします。
リード文で読者の心を掴めれば、その後も読んでもらえる可能性が高くなります。読者の目線に立ち、気持ちを惹きつけられるようなリード文を考えてみてください。
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メルマガの配信形式
メルマガの配信形式は、主にテキストメールとHTMLメールに分かれます。また、近年ではamp for emailという形式も登場しました。
デバイスを選ばないテキストメール
テキストメールは、その名の通り文字だけで構成されたメールのことです。BtoBのメールマーケティングでは、現在もテキストメールが主流となっています。
文字のみで構成されているため構造がシンプルで、受信するデバイスに左右されにくいところがメリットです。また、メルマガを作成する側も手間がかからず、簡単に作成ができます。
一方で、画像や色の変化など視覚的な工夫をしにくいデメリットがあります。改行や飾り文字など読者が読みたくなる工夫を取り入れる必要があるでしょう。
画像も挿入できるHTMLメール
HTMLメールは、Webサイト構築に使われるプログラミング言語「HTML」を使い作成したメールを指します。受信者がHTMLに対応している環境であれば、正常に表示できます。
HTMLメールは文字だけでなく、絵文字や画像などを取り入れながら自由にレイアウトできるところが特徴です。そのため、商品やサービスを紹介する場合は、画像を踏まえて分かりやすく説明できます。
一方で、テキストメールよりも容量が大きくなるので、デバイスによっては開封に時間がかかったり開封できなかったりする可能性があります。また、基本的にはHTMLに関する知識がないと、メールの作成ができない側面もあります。
動的なコンテンツが可能なamp for email
amp for emailはGoogleが2019年に開発したスライド写真・アンケートフォーム・動画が埋め込める配信形式です。商品の購入フォームや問い合わせフォームをメール自体に組み込めるので、サイトに誘導しなくても商品の購入などの目的を達成できるところが特徴です。
ただし、現在は受信可能なメーラーがGmailやYahoo!メールなどに限定されているので、他の手法と組み合わせて使用する必要があります。
配信方法はメルマガの規模で選ぶと効果的
メルマガは顧客リストなどを活用し、ターゲットに一斉送信することが多いです。ここでは、規模別のメルマガの配信方法について解説します。
メール配信システムを利用する
メール配信システムとは、一度に大量のメール送信ができるシステムのことです。
- ターゲットごとに内容の異なるメールを送信できるセグメント配信
- あらかじめ配信時間の予約ができる予約配信
- 効果測定機能
- 簡単にHTMLメールを作成できるサポート機能
など、メール配信システムによってさまざまな機能が備わっています。管理画面なども見やすく、メール配信を効率化できるところが大きなメリットです。
一方で、高機能なメール配信システムを選択するとランニングコストがかさむ可能性があります。費用対効果を念頭に置いて、選択するようにしましょう。
MAツールのメール配信機能を使う
すでにMAツール(マーケティングオートメーションツール)を導入しているもしくはこれから導入する予定がある場合は、MAツールのメール配信機能を活用するのも一つの方法です。
MAツールはマーケティング施策の管理や自動化を行うツールなので、メルマガ配信だけでなく顧客情報やリード管理などを一元化できます。
多機能なのでカスタマイズ性が高く、目的や配信頻度に応じて使いやすいでしょう。一方で、多機能故に扱いが難しく、時間をかけて使い方を学習する必要があるでしょう。
ExcelとOutlookを活用する
Excelで顧客管理を行っている場合は、ExcelとOutlookを組み合わせてメルマガを配信する方法もあります。
まずはExcelで管理している顧客情報をCSVで出力し、Outlookにインポートします。そして、メルマガの対象となる顧客に一斉送信をすれば完了です。
この方法は費用がかからず、手軽に挑戦できるところがメリットだと言えるでしょう。一方で、一斉送信は1通につき500アドレスまでと決められているため、大勢の方に配信する場合は向いていないでしょう。
メルマガ配信で得られる3つのメリット
ここからは、メルマガを配信するメリットをご紹介します。
コスト削減が期待できる
メルマガのように個人に直接アプローチできるマーケティング手法には、ハガキやチラシの送付があります。どちらも送料や印刷代など、一定のコストがかかります。継続して取り組もうとすると、費用がかさむでしょう。
一方で、メルマガは送料や印刷代が発生しません。今までハガキや印刷物を使用して個人にアプローチをしていた場合は、コストダウンが期待できます。
自社コンテンツへ誘導できる
メルマガ内に自社サイトのURLを掲載するとブログや商品の販売ページ、セミナーの申し込みページなど自社コンテンツにも誘導できます。
認知度が低かったり競合が多かったりする場合、目的とするコンテンツへの誘導に苦戦することがあります。メルマガを活用し直接顧客に訴えかけることで、新たな誘導導線を確保できるでしょう。
顧客との関係が深まり、コンバージョンを促すことができる
メルマガを定期的に配信し顧客と良好な関係を維持することで、最終的にサービスの契約や商品の購入などコンバージョンにつなげることができます。
顧客が離れる理由の一つに企業側からのコンタクトが無く、ロイヤリティが下がっていることが挙げられます。
メルマガは顧客と定期的にコミュニケーションをとる手段としても適しており、顧客離れを防ぎ愛着や信頼といったファンを育てます。
メルマガ配信のデメリットは継続的な工夫が必要なこと
メルマガ配信のデメリットとしては、すぐに効果が出ないことや継続的に改善していく必要があることが挙げられます。
メルマガは、顧客に開封してもらえないと意味がありません。読まずに解除したり迷惑メール扱いをしてしまったりする顧客も一定数います。そのため、ユーザーに「読みたい」と思わせる工夫が欠かせません。
また、ユーザーのニーズや企業、市場の変化に応じて改善していくことも必要です。同じ内容や同じコンテンツばかりを配信していても、飽きられてしまいます。顧客目線に立ち、顧客が望む情報や興味関心のある情報へと常に改善していくようにしましょう。
メルマガ配信で押さえておくべき法律
メルマガを配信するときには、押さえておかなければいけない法律があります。最後に知っておくべき法律について解説します。
メルマガ配信に関する法律「特定電子メール法」
迷惑メールを防止する法律として、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)があります。
特定電子メール法の対象は、広告宣伝のために送信する電子メールです。そのため、商品を宣伝したり自社サイトの購入ページへ誘導したりする場合は、特定電子メール法に従わなければいけません。
特定電子メール法において重要視されるのが「オプトイン」と「オプトアウト」です。それでは、この2つについて詳しく解説していきます。
メルマガ配信前には必ず許可を
オプトインとは広告宣伝が含まれているメールを配信するときに、受信者の同意を得なければいけない決まりです。同意を得ずに送られているメールは、原則として違法メール扱いとなります。
オプトインでは、下記の2つの情報を目に見える形で提示して、同意を取得しなければなりません。
- 広告や宣伝を含むメールを配信すること
- 配信をする企業や個人の情報
同意を得た場合は、一定期間同意の証拠を保存する必要があります。
配信停止の明示は義務
オプトアウトとは、受信者がメルマガの配信を望まなくなったときに簡単に配信を解除できるようにすることです。
メルマガの配信に同意をした後であっても、受信者が望まない場合は配信を解除できるようにしなければなりません。
オプトアウトに関しては、受信者が理解しやすいように解約ページや解約の流れを設置するのがいいでしょう。
まとめ
メルマガは顧客と良好な関係を築き、目的を達成するために活用できるマーケティング手法です。企業から顧客に対してダイレクトにアプローチできる、数少ない手法とも言えるでしょう。
今回ご紹介した目的や導入方法を参考にしながら、費用対効果を最大化できる方法でメルマガを活用してみましょう。